東急東横線と目黒線が交差する、東京・大田区の北西端。そこには、日本が誇る「住宅街の完成形」と称される場所がある。田園調布だ。 駅を降り立ち、西口へと足を踏み入れた瞬間、誰もがその異質な光景に圧倒されるだろう。駅を中心に放射状に広がる三本の道路と、それらを繋ぐ同心円状の街路。見事なまでに幾何学的で、ヨーロッパの古都を彷彿とさせる「扇形」の街並み。しかし、この美しい景観こそが、ある特定の意図を持って構築された「結界」であることに気づく者は少ない。 今回は、この「扇」のなかに塗り込められた、創設者・渋沢栄一によ ...